先生、うちの子漫画家目指すとか言ってんですけど!!?

子どものための漫画教室講師 あかいで みく が、漫画家を目指す小中学生とそのパパママを全力で応援します!!!!

野猿の魅力から考える、キャラ作りこれがテッパン。

どもども皆様、お元気ですか。

子どものための漫画教室 講師の あかいで みく でございます。

 

ちょっと前回から間が空いてしまいましたが、その間私が何をしていたのか、僭越ながらお話させていただきますと、

 

野猿 です。

 

野猿 とは、知らない若者世代のために簡単に説明いたしますと、今年3月に惜しまれながらも最終回を迎えた伝説的バラエティ、「とんねるずのみなさんのおかげでした」の中で生まれた音楽ユニットで、1998年から2001年まで約3年間活動をしていました。

とんねるず以外のメンバーは全員番組の美術スタッフという全くのど素人集団であり、歌も踊りもさっぱり使い物にならないような連中でありながら、恐ろしいほどの豪華な音楽プロデュースや海外での本格的なプロモーションビデオ撮影を行ったりして、当時宇多田ヒカルGLAYなどがミリオンセールスをばんばん飛ばしている中で、出すシングルの全てがオリコン初登場10位以内を叩きだすという、驚異的なヒットを飛ばしていた異色のユニットでありました。

 

そして当時高校生であったワタクシも、彼らが活動を終える(いわく「撤収」)直前にまんまとハマってしまい、短い間ではありましたが彼らを非常に楽しく応援させていただきました。

 

のがもう20年近く前???

 

大学に入学したばかりの5月、名古屋に進学した友人と大阪で落ち合って、大阪ドームの撤収コンサートに出向いたのはいい思い出です。

 

そして先週、「おかげでした」の最終回すら見ることのなかった私ですが、ふと、本当にふと、彼らのことを思い出して、ちょっとYou Tubeの動画など観てみたら………

 

見事にハマりました。

 

野猿熱、再び。

 

次の日にTSUTAYAに走ってアルバムすべてをレンタルし、カーステは野猿三昧。熱に浮かされたようにYou Tubeニコニコ動画の当時の映像を漁りまくり、連日午前様という有様。

あまりのハマりように、5歳の娘にも呆れられる始末。

 

そんな一週間を過ごしたわけですが、さすがにいろいろと生活に支障が出てきているような気がしなくもないので、名残惜しいながらもとりあえず野猿祭り終了。

あー楽しかった。

とはいえまだまだブーム再燃の余波が続いていて、動画観たりしてますけども。

 

なぜ全くの素人集団であったはずの野猿がこれほどまでに視聴者の心をつかんだのかというと、いろんな要素があったと思います。

もともと超ビッグネームが曲や踊りを作っているので、歌やダンスそのものがかっこいい・好きというひともいたでしょうし、素人である番組スタッフ(ほとんどが無理やりやらされるはめになっている=あんまりやる気がない)がメンバーとして成長していく過程が楽しいとか応援したくなるというのもあるでしょう。

あるいはPV撮影に向かう成田空港で突然メンバーから外されたり、メンバーが「催眠術にかけられる」などといったバラエティらしい演出がとにかく笑わせてくれるというところもありました。

 

そういったもろもろの要素が重なって野猿のヒットがあったと思うのですが、その中の非常に大きな一つとして、彼らが非常にバランスのいいメンバー構成であったというのがあると思うのです。

 

活動期間中にも何度かメンバーの入れ替わりがあるのですが、最盛期の11人はそれぞれが個性の立った、とてもバランスのいい構成でした。

 

中心となるボーカルチームはとんねるずのタカさんとノリさん、アクリル装飾のテルリンと衣装のカンちゃんの4人ですが、まずこの4人のバランスが絶妙なのです。

 

野猿の総合プロデューサーであるタカさんはとにかく毎回メンバーへの無茶ぶりが半端なく、悪魔のような独裁者ぶりを発揮していましたが、素人集団である野猿を先頭に立ってぐいぐい引っ張っていくリーダー。歌声やルックスは野性味があって男くさい感じ(私のイメージカラーは黒でした)。

一方で相方のノリさんは歌唱力やダンスの実力は多分メンバー1でありながらも、決して出しゃばらず後ろにそっと控えていて、暴走しがちなタカさんやバックダンサーのメンバーをさりげなくフォローしている、優しいお兄さんタイプ(私的イメージカラーは白)。

それから野猿で最高の歌唱力を誇るテルリンは、その実力と渋いルックスからファンに絶大な支持をされていながらも、基本的にはもともとスタッフであるというスタンスを崩さずあくまで謙虚。

そしてカンちゃんは、歌唱力は他の3人にはやや劣るものの、他のメンバーが大人の男らしい外見である中で一人小動物のように小さく可愛らしく、野猿のアイドル的存在。

 

とんねるずだけでは新鮮味がなく、かといって素人であるテルリンやカンちゃんだけでは華がなく、歌が上手くてもタカ・ノリ・テルだけではちょっとむさくるしいわけです。

とにかくこの4人!!!!

この4人で野猿のゴールデンバランスだ!!!!!!

という、完璧なメンバー構成。

 

そしてさらにテルリンやカンちゃんがどちらかといえば大人しい性格であまり前に出て来ない一方で、アクの強いバックダンサーの面々が毎回いろいろなヘマをやらかして、それがまたバラエティとして面白く………と、とにかく野猿はメンバー11人がそれぞれに個性的で、それらの個性が非常にバランスがよく、「この11人だからこそ面白い」というひとたちだったと思うのです。

 

で、漫画の話ですが(遅くなりましたが、ちゃんと関係ありますよ)、漫画のキャラクターづくりにおいても、この「バランス」って非常に重要なんですよね。

どういうことかというと、個々のキャラクターを、お互いに「かぶってる要素がどこにもない」というくらいにまでデフォルメ(誇張)しきるということです。

 

現実世界では、人はやはり似たもの同士でつるむものですから、性格や外見は友人であれ恋人同士であれ似通ってくるものですが(ティーンエイジャーならなおさら)、フィクションの世界では登場人物の「キャラがかぶる」というのは言語道断のご法度。素人の所業です。

たとえば主人公が内気な性格の女の子なら、相手役の男の子は超強気でオレ様な性格ぐらいでないと、そもそもドラマが起こりません。

それまでの主人公の世界がなんらかのきっかけで揺らぐのがドラマの始まりですから、全く正反対の個性をぶつけるくらいで丁度いいわけです。

 

たとえば、例えが若干古くて恐縮ですが、世界的なヒットを今も飛ばしている、かの「ドラゴンボール」は、まず悟空とブルマの出逢いから物語が始まります。

超人的な身体能力でありながらも、人里離れた山奥でひっそりと暮らしていた悟空に対し、ブルマは最先端の科学技術によって作られた不思議な道具をいっぱい持って、大都会からやって来ます。

さらに、背の低い少年である悟空に対し、ブルマは背の高い大人の女性として現れるわけです(実際には16歳?ぐらいなんですが…)。

 

悟空の 男・子ども・田舎・超人的な身体能力 などに対して

ブルマは 女・大人・都会・最先端の科学技術 という、

正反対の個性(キャラクター)が出逢うことで、物語が始まっていくんです。

 

他にも、「ドラえもん」なんかもそうですよね。

何をやってもダメな冴えない主人公のもとに、どんなことでもできるロボットがやって来るという。

ドラえもん」はメイン5人の個性がやはり丁度よくばらけていて、絶妙なバランスを生んでいます。

(そのせいか、しばしば藤子先生はこの黄金のキャラ構成を他の作品でも転用しておりました………←しかし「キャラクターの自分的ゴールデンバランス」を繰り返し描く作家は決して珍しくはない。)

 

とにかくキャラクターは、互いに個性が振り切れているぐらいでないと、いる意味がありません。

限られた容量で(漫画ならページ数、アニメやドラマや映画なら「尺」とも言われる時間)質の高いドラマを見せようと思えば、無駄な要素はどんどん削っていく必要があるわけですが、それがキャラクターに関していえば

「かぶっている部分はとことん排除する!!!」

つまり個性をとことんデフォルメして正反対の人物を作るというやり方にならざるを得ないのです。

 

ためしにどれか一つ二つ、漫画でもアニメでもいいので、人気で長く続いているような作品を取り出してキャラクターを見てみてください。

プリキュアでも仮面ライダーでもクレヨンしんちゃんでも忍たま乱太郎でも、それが初期メンバーであればあるほど、登場人物のキャラクターは互いに「正反対の個性」を持っているように作られているはずです。

 

よく美少女や美少年がごろごろ出てくる恋愛シミュレーションみたいな作品がありますが、あれも各キャラクターの個性は決してかぶらないように作られています。

そりゃそうですよね。同じなら(二次元では)いる意味がないですから。

あ、双子という設定はあるかもしれませんが。

でもまあ中には、髪型と服装だけすげ替えたような「同じような美少女」「似たようなイケメン」を無駄撃ちしているような作品もあったりするわけです。

これはもったいない。

それならいっそ、人数を減らして、多少美形から遠ざかっても個性をとことん振り切らせたほうが、逆に支持されるキャラ・作品になると思います。

アイドルグループなんかでも、一番人気の子は、必ずしも一番美形の子ではなかったりしますよね?そこはやっぱり、個性のある子が認知され、支持されるわけです。

 

キャラ作りは「個性が振り切れるほどデフォルメ」!!!!!

これが鉄則です。

 

えー、今回ちょっと前半の野猿の話が長くなりすぎてしまい、申し訳ありませんでした………。

でもこれ描き終わった後も、また動画観に行ってくるよ、たぶん。

 

ちなみに「おそ松さん」や「チャラン・ポ・ランタン」を一緒に楽しんでくれた娘は、野猿には全く興味がないよう。

 

曰く、「おじさんばっかりだから」。

 

それがいいのに!!!!!!!!!!!!!

 

………と、思わないでもなかったけども、娘がおっさん趣味になってしまったらそれはそれで厄介だなあと思い、そこはあえて言わずにおきましたよ………。

しかし最近は10代の子もパパママの影響で野猿聴いてたりするみたいですからね。

 

みんな、野猿イイよ!!!

よかったら聴いてみてね!!!!!